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ブックリスト「発達が気になる子どもたち」

発達障害の本は、数年前から日本でもようやく出るようになってきて、
ここ2年ほどは、出版点数の面でも質の面でもかなり充実してきた。
これらを、医学や心理学についてはしろうとの親の立場から分類整理し、
親や保育・教育・療育の現場にいる人たちの参考になるようにとまとめた
ブックガイドを作ってみた。

『Book List 発達が気になる子どもたち
 -軽度発達障害の理解と支援をめぐるおすすめ本-』
 グループ・コスモス編著 山洋社 A5判 12頁 2005年 非売品

専門家向けの本ははぶいて、入門レベルから中級レベルまでの解説書に、
コミックや絵本、フィクションなども含めて四十数点を短い紹介文とともに掲載。
ウェッブからダウンロードして無償で利用できる冊子類も紹介。

ブックリスト希望として送付先を発行所の山洋社にメイルすれば、
送料発行所負担で送ります。

親が保育士や幼稚園・学校の先生に、あるいは逆に先生たちが親に、
発達障害を説明するのに参考になればいいと思う。

去年秋に放送されたテレビドラマ「光とともに」を見た現役のベテラン保育士が
「自閉症って、親のせいじゃないのねぇ」と言ったという実話が、
このブックリストに紹介されている。
世間はまだまだこの水準にあるのだから、啓蒙・知識普及のアイテムは
いろいろと必要だ。

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利き手と優位脳と矯正の(無)意味

脳の言語機能のある側の半球を優位脳とか優位半球と言い、
その反対側を劣位脳とか劣位半球と言うのは、
それぞれそう呼ぶことにしたという定義の話だから、
人間の脳は左右で機能が分かれてはいるけれど、
どちらが優れているとか劣っている、という話ではない。
そして、優位脳(言語中枢のある側)は生まれたときから決まっているようだ、
というのが現代の脳科学の一般的な認識。

利き手と優位脳はすべての人で反対になっているかというと、そうでもなく、
調査によって結果にばらつきがあるものの、
右利きの人は95~99%が左脳が優位脳で、
左利きの人も60~70%は左脳が優位脳、15~20%が右脳が優位脳、残りは
どちらが優位脳か決められない、ということらしい。

療育の場などでは、利き手が決まらないと優位脳が決まらないから
どちらかに決めるように、という指導がおこなわれることがあるようだが、
左利きを右利きに直しても優位脳は変わらないそうだから、
利き手が決まらないと優位脳が決まらない、というのはおかしい。
利き手を決めたほうがいい理由として、
利き手が決まらないままだと線などを書き写すときに左右の向きを間違えてしまう、
というようなことが言われるようだが、それは優位脳が決まらないからではなく、
左右の認知機能の問題などと考えたほうがいいだろう。

もっとも、世の中は何かにつけ多数派の右利きの人むけにデザインされているので、
右利きにしたほうが便利だよ、ということは言えるかもしれないが、
そこは話が逆で、少数派が苦労しないですむように世の中は配慮しなくちゃ、
と考えるほうがまっとうなセンスだと思う。

左利きが右利きに“直る”というのは、右手が使えるように教育されただけで、
利き手が入れ替わったわけではなく、利き手そのものは変わらないから、
生まれつきどちらだったのかを知る方法があるらしい。
字を書く、はさみを使う、ものを投げるなどの動作をすべて右手でやる人は右利き、
左利きを直された人は、そういう動作の1つか2つは左手でやる、とのこと。
あまりに幼いときに左利きを直されると覚えていなくて
自分は右利きだと思っている人がいるけれど調べてごらん、というのだが、
ホントだろうか。必ずしもそうは言えないという専門家の意見もあるようだが。

十数年前の「クォーク」に、
利き手と優位脳を組み合わせて4タイプに分類した記事が載っていた。
左脳優位の右利き、右脳優位の右利き、左脳優位の左利き、右脳優位の左利き。
優位脳と利き手が同じ側の場合、鉛筆を持つ手が独特のポーズをとるとのこと。
手首を内側に曲げていわゆる「下がり手」のようなかたちで鉛筆を握る、
という説明だった。だからどうなのだ、という話はなかったが、
このような報告が1970~80年代にいくつかおこなわれたそうだ。

脳についての本は好著から駄本まで百花繚乱のおもむきだが、

『脳のしくみ-まるごとわかる潜在脳力-』
泰羅雅登(たいら まさと)著 池田書店 小B6判 2004年 本体930円

は、安直な解説本のように見えて、
図解と読みやすい文章で必要十分なことが正確に書かれている秀逸な入門書。

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「ダ・ヴィンチ」2005年4月号は『のだめカンタービレ』特集

連載開始のころのインパクトにくらべると、
講談社漫画賞を取ってブレイクして以降最近はパワー落ちの声も?

さて、漆原教授にしても柳沢教授にしてものだめちゃんにしても、
作者が発達障害をきちんと理解していて描いたわけではなく、
かれらの観察力や表現力が期せずしてあのようなキャラを作り出したのだろうことは
二ノ宮知子作の別の漫画『天才ファミリーカンパニー【スペシャル版】』が
自閉症について間違った表現をして(vol.3 p.226、p.254)物議をかもし
作者自身がお詫びと訂正する旨のコメントを出していることからも想像できる。

二ノ宮知子が描く自閉症は、たとえば、

「わたし それまでずっと 人と関わるのが 怖くて 誰に対しても 引き気味で
嫌われるのが 怖くて
気がついたら しゃべれなくなってて」
(vol.6 p.142)

という「無口」だった女の子(永沢)について男の子たちが

「あいつ 自閉症っぽかったからな~ 小学校 中学校って
高校になってから 急に明るくなって 話もできるよーに なってて
オレも すっかり 忘れてたけど」
「永沢が 自閉症~!?」
(vol.3 p.226)

というやりとりをするかたちで表現されている。

2ちゃんねる「自閉症Q&A」を紹介してくれていたのにはホッとするけれど、
自閉症を間違って理解している人間の何と多いことか。
漫画家や批評家は影響力の大きい人たちなのだから、
かれら自身もかれらに情報を提供する人たちも、
自分の知識を点検し、ものごとを正確に伝えてほしい。

しかし、『天才ファミリー~』は、作者が自閉症を誤解していた、というだけの話?
この「小さい時から変わった子」(vol.3 p.254)だった永沢は、
自閉症でないのなら、では何? 自閉症に替わるレッテルが必要?
永沢の語りは、DSMやICDが載せている別の障害の人が自己像を語るのに似ている。

その語りの相手の夏木君がまた、
「いっつも なんか好戦的で 自己中で 人を見下してて 協調性の かけらも
なくて みんなに キラわれてても 全然平気で…」(vol3 p.141)
という人物なのでしょう。

こういう人たちが登場するお話で、自閉症ということばの出てきた部分だけに、
たとえば吹き出しの中を書き換えるといった手直しをほどこしても、
作者が自閉症や発達障害全体を認識しなおしたことにはならないのでは?
「自閉症に関する不適切な表現があった」のは確かだけれど、
「関係箇所については、次回の重版分より訂正させていただきます」
と簡単に言えるようなことだろうか。

登場人物たちが「自閉症」ということばを間違って使っていても、
それは作者の誤解をあらわしていると同時に、
そういう誤解が世間に広くあるという事実もあらわしているのだから、
もし「自閉症」ということばを消すだけなら、
世間が広く自閉症を誤解しているという事実も消してしまうことになり、
世間の誤解を正す機会をうしなうことにならないだろうか。
作者はどんな訂正をおこなおうとしているのだろう。

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子どものうつについての新聞連載と書籍

2月末に読売新聞に5回に分けて連載された「子どものうつ」は、
たいへんよくまとめられている。

第1回 教室に広がる「予備軍」
第2回 休みたがっている頭と体
第3回 悲観的な気分 表現は様々
第4回 悩み相談敷居高く
第5回 豊かな「生活体験」させよう

参考図書

日本でもここ2、3年、子どものうつについての本がようやく出てきた。
この先、新書レベルの入門書や啓蒙書も出版されるようになるだろう。
おもな既刊書は、刊行日順に下記のとおり。

『子どものうつ病-見逃されてきた重大な疾患-』
傳田健三著 金剛出版 A5判 263頁 2002年 本体3600円
子どものうつについて医学的知見から現代社会との関係までを包括的に論じている。

『子どものうつ病ってなあに?-ひとりぼっちから救う7つの対処法-』
猪子香代著 南々社 A5判 139頁 2003年 本体1200円
対処法に重点を置いて親向けにやさしく解説。

『うつ病』(10代のメンタルヘルス3)
塩見稔幸、田中千穂子監修/J・ピーコック著/上田勢子訳 大月書店 A5判
62頁 2004年 本体1800円
教育学者が監修した若者のメンタルヘルスについてのシリーズの1点。うつの当事者
を第一の読者に、親と教師を第二の読者に想定。

『子どものうつ 心の叫び』(こころライブラリー)
傳田健三著 講談社 四六判 202頁 2004年 本体1400円
著者たちがおこなった大規模実態調査の結果もふまえ、さまざまなケースや著者自身
の体験もまじえてていねいに書かれている。

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