脳の言語機能のある側の半球を優位脳とか優位半球と言い、
その反対側を劣位脳とか劣位半球と言うのは、
それぞれそう呼ぶことにしたという定義の話だから、
人間の脳は左右で機能が分かれてはいるけれど、
どちらが優れているとか劣っている、という話ではない。
そして、優位脳(言語中枢のある側)は生まれたときから決まっているようだ、
というのが現代の脳科学の一般的な認識。
利き手と優位脳はすべての人で反対になっているかというと、そうでもなく、
調査によって結果にばらつきがあるものの、
右利きの人は95~99%が左脳が優位脳で、
左利きの人も60~70%は左脳が優位脳、15~20%が右脳が優位脳、残りは
どちらが優位脳か決められない、ということらしい。
療育の場などでは、利き手が決まらないと優位脳が決まらないから
どちらかに決めるように、という指導がおこなわれることがあるようだが、
左利きを右利きに直しても優位脳は変わらないそうだから、
利き手が決まらないと優位脳が決まらない、というのはおかしい。
利き手を決めたほうがいい理由として、
利き手が決まらないままだと線などを書き写すときに左右の向きを間違えてしまう、
というようなことが言われるようだが、それは優位脳が決まらないからではなく、
左右の認知機能の問題などと考えたほうがいいだろう。
もっとも、世の中は何かにつけ多数派の右利きの人むけにデザインされているので、
右利きにしたほうが便利だよ、ということは言えるかもしれないが、
そこは話が逆で、少数派が苦労しないですむように世の中は配慮しなくちゃ、
と考えるほうがまっとうなセンスだと思う。
左利きが右利きに“直る”というのは、右手が使えるように教育されただけで、
利き手が入れ替わったわけではなく、利き手そのものは変わらないから、
生まれつきどちらだったのかを知る方法があるらしい。
字を書く、はさみを使う、ものを投げるなどの動作をすべて右手でやる人は右利き、
左利きを直された人は、そういう動作の1つか2つは左手でやる、とのこと。
あまりに幼いときに左利きを直されると覚えていなくて
自分は右利きだと思っている人がいるけれど調べてごらん、というのだが、
ホントだろうか。必ずしもそうは言えないという専門家の意見もあるようだが。
十数年前の「クォーク」に、
利き手と優位脳を組み合わせて4タイプに分類した記事が載っていた。
左脳優位の右利き、右脳優位の右利き、左脳優位の左利き、右脳優位の左利き。
優位脳と利き手が同じ側の場合、鉛筆を持つ手が独特のポーズをとるとのこと。
手首を内側に曲げていわゆる「下がり手」のようなかたちで鉛筆を握る、
という説明だった。だからどうなのだ、という話はなかったが、
このような報告が1970~80年代にいくつかおこなわれたそうだ。
脳についての本は好著から駄本まで百花繚乱のおもむきだが、
『脳のしくみ-まるごとわかる潜在脳力-』
泰羅雅登(たいら まさと)著 池田書店 小B6判 2004年 本体930円
は、安直な解説本のように見えて、
図解と読みやすい文章で必要十分なことが正確に書かれている秀逸な入門書。
Recent Comments